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著者:綿谷りさ
出版社:河出書房新書(2002年出版) 「蹴りたい背中」もソオだったけれど、綿谷りささんの本は、実にまったりしていてイイ。 時々、京都弁が覗く文章があるのも微笑ましい。「けれど」が「けど」になり、「奥のつきあたり」は「どんつき」となっている。 もし、文章とはコオ書かなくてはダメなのです、という定型が「青で渡り赤でストップ」という公共の交通規則の様にあったとしたら、誰でも書きたければ文章は書けるのもではありません、分かりましたか? といったものになってしまう。 三島由起夫賞を獲得した舞城王太郎の「阿修羅ガール」も、かなり批判の対象になった様だが、文体は書く主題によって変わって当然であろう。不協和音やジャズの音符の流れをポロネーズで演奏するのも面白いといえば面白いが、しかし、揺さぶる味が変わる。いろいろな味があるものが有って当然だ。 「インストール」も、その部類であろう。 これといって暴力的な登場人物は出て来ない。また大人の登場人物に若い者を下に見る姿勢も無い。構えた人というものが居ない。 大学受験を控えて予備校にも通う朝子、好きな事を云う光一、光一にマゾと陰口をたたかれていながらも独創的なアイディアに感心する担任のナツコ、12歳の小学生かずよし、朝子の母親、かずよしの家族、といった極普通の設定の中に登場人物夫々に居場所がある。生活の枠は変わらずに延々と続く中で朝子は変わってみようとする。 まず学校に行かない事に決める。次にする事は部屋の中の物を全部、大型ゴミに捨ててしまう。その中に古いコンピュータが入っていた。 その捨てたコンピュータを貰い受けたかずよしは、インストールしなおして使えるコンピュータにした。それが朝子とかずよしが風俗チャット営業をする事に繋がって行く。 4週間、高校に行かないでチャットの相手をする様になった朝子も、小学生のかずよしにソフトをインストールされた事になる。 しかし、そのインストールもインストールしなおす事に発展して行く。 インターネットが玩具である現代に可能な微笑ましい生活の動きを書いた小説だ。「インストール」という意味を人にも対応させている点が、この著者の目の付けどころが優れている。
by nerdy
| 2006-01-05 00:20
| 読書
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