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八百万の神とお米とお酒
ニューヨーク市には、明日の感謝祭とは別に11月23日の日本の勤労感謝の日もある。
如何なるものかというと、今秋に収穫した新米を始めて食べる事が出来て、その新米から醸した新酒をナメる事が出来る日。それまでは、ジッと我慢して、古米と去年のお酒だけ。 お米の収穫は人の生死に係るし、お米からお酒を作るから、お酒には稲霊/穀霊があって、薬でもあって、大切な日。 それで、「酒の肴」がなまって「肴、魚」となって、「栄える」「(病気を)避ける」「奇びなるもの(薬)」から酒になって...。 丑虎の方向は北東で、卯が東で、だから卯の日は良い日で、何故良いのかと云うと東は日が登る方角で、何故に日が登る方角が良いかというと、天照大神が日を司るからで....何故に天照大神が良いかというと、天照大神が高天原で田植えをして自らお米を栽培していて、その稲穂を弟の須佐之男命にあげて、須佐之男命が、その稲穂を持って地に降りて、お米を生めよ増やせよと率先して作って、皆で「ほら、私達は、こんなに沢山お米を作って、それでお酒も作って、スゴいでしょ、私達の成果を嬉しく思うでしょう、お米をくれて有難うさん」という日。そして新しいものをナメるお祭りの新嘗祭が終戦後に勤労感謝の日と呼ばれる様になった。 新嘗祭は、普通、夜半に行われて、夜半に新しい穀物を噛んで、新酒をナメる。遥か太古の昔、お酒は木の実を歯で噛んで吐き出して作ったのが始まりと書き物にソオ書いてあるから、それで「お酒を醸す」になったのか、とか。 だから「お神酒」で、お神酒に白酒(どぶろく)、黒酒(灰を入れてある。灰はアルカリ性だから長持ちする)、清酒、一夜酒の4酒があって、酒造りは卯の日から始めて、酉の日に終わるのが良くて、何故に卯が大変に良いかは、もうお分かりで、酉に「さんずいヘン」で「酒」とう字になって、 神社は酒造りに作ってもらうけれど、神社内で神主や奉職する人が作る大きな神社もある。 酒樽に使う樹は杉が良くて、何故かというと、杉には殺菌性があるからで、 だから「ご神木」として、注連縄が張られている杉の樹もあるって、切り倒した杉の樹の切り株の中心に小さな子供の樹を植えて、それが大樹に育って...。 実はコレ、ぜんぶ、今日勉強した事。京都の上賀茂社からNY市に派遣されて来た神職の人が居て、11月23日の夜に、この日にちなんで、「お酒とお神酒」の講座を彼のアパートでするので、フラリと独り寒い夜に出かけたんです。寒かったあ。 6時からと思って行ったのですが、6時半からで、私は一番のりで少々早く来過ぎ。 神職の人は白袴姿。神主の白い衣に黒い帽子は被っていなかった。私の頭上でお祓いをして、小さな神棚にお参り。2回お辞儀して、2回手を打って、お願い事とか祝い事などを願って、そして1回お辞儀して退散。デジカメをバッグに持って来たけれど、気が引けるから撮影は止めた。 「なんで神道は知られていないんでしょうねえ」と神職の人が云う。 「そうですよね」しか私は分からない。 まるで相撲の解説者同士みたい。 「力相撲になりましたね」 「そうですね」 「北の湖は強いですね」 「そうですね」的な会話。 アパートの居間に椅子が並べられていて、難しそうな神道の学問書が本棚に沢山並んでいて、延喜式まであって、小さな神棚があって、新米の新酒の小瓶、それに新米の米粒が小さな三角錐の形に盛られていて、常緑樹の小枝が飾られている。常緑樹がイイらしい。お榊の木って、こちらで見ないんですよね。色々な山に行ったけれど、私は何処にも見た事がない。 6時半になると10人ばかり集まった。 8時に講座が終わって休憩時間になったから、私は帰宅する事にした。 新酒を嘗める時まで居たら、帰りが遅く成るし。 ここはチョッと離れたアメリカ大陸だし、八百万の神という位だし、カリフォルニア州で穫れたコシヒカリの新米を買おう、と思った日でした。
by nerdy
| 2005-11-25 15:16
| 日記
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